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2005年12月を表示

ルウヴィ社・映画企画・脚本

ルウヴィ・ジャポンでは、新時代の映画をクリエイトしています。


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リコールFROM80s脚本(c)Yoshimasa Higashi ’05

脚本:  東義真



リコール・フロム・ザ・エイティーズ










1 スーパー
  「リコール・フロム・ザ・エイティーズ」

2 スーパー
  「1985年 6月の記憶」

3 エーゲ海の島(外・昼)
  島に寄せる波。
陸にたたずむ白亜のギリシア教会。
ロベルトのモノログ「何度も記憶に蘇る風景・・・それは、少年の頃に見た、エーゲ海・・・。陽光を受けたギリシア教会は美しかった」

4 エーゲ海の浜辺(昼)
  水と戯れる、女性の白い足。
ロベルトのモノログ「ボクは、女性の魅力に揺り動かされていた。青春の思い出は、女性たちの思い出だ・・・」
5 海岸側の道(昼)
  少年ロベルトが、何冊かの教科書を抱えて、すたすた歩いている。



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リコールFROM80sプラン

6 白壁の家(外・昼)
  青い空を背景に、3階建ての大きな白壁の家が建っている。
  ロベルトが帰宅する。
  大きな白い飼い犬が、尻尾を振ってロベルトに駆け寄る。
ロベルトのモノログ「もうすぐ15になろうとしてた頃……。ボクは、白壁の家に住んでいた。3階のベランダから、エーゲ海の青い海が見えた。毎日学校から帰ると、飼い犬がボクを迎えた」

7 白壁の家、居間(昼)
  ロベルトが帰宅するが、誰も居ない。
  テレビだけがオンのままだ。
  テレビでは、NASAのサターン・ロケットのドキュメンタリーを放送中。
  ロベルトは、テレビの前のカウチに腰掛ける。
ロベルトのモノログ「ボクは理科に興味を抱いていた。NASAのロケットの映像を見て、いつか宇宙へ行きたいと考えていた」
  テレビに映る、サターン発射風景。

8 白壁の家3階ベランダ(外・昼)
  ロベルトが、ベランダに出てくる。
  ロベルトの目前には、ブルーの海原が広がっている。
  しばらく海原を眺めるロベルト。
ロベルトのモノログ「ボクは養子だった。養父母は、日系で身寄りがなかったボクを引き取り、ヨーロッパ風の名前を与えた。養父母は、5月から8月まで、白壁の家のゲストルームに、観光客を宿泊させていた。それでボクは少年時代に、色々な国の人に出会った」

9 エーゲ海に面する浜辺(昼)
 浜辺で遊ぶ人々。
ロベルトのモノログ「エーゲ海には、多くの外国人たちが訪れた」

10 白壁の家ベランダ(外・昼)
  寝椅子に座り、双眼鏡で遠くを見ているロベルト。
ロベルトのモノログ「ボクが住んでいた白壁の家はビーチに近かったから、午後はベランダの寝椅子で、外国の女性たちが色とりどりの水着で、ビーチを散歩するのを双眼鏡で眺めた」



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11 浜辺(双眼鏡を通して・昼)
色とりどりの水着の女性たちが浜辺を闊歩している。
オーギュストの声「ロベルト!ロベルト!」
ロベルトのモノログ「1985年6月のある日の記憶だ・・・」
オーギュスト「ロベルト! ロベルト!」

12 ベランダ(外・昼)
ロベルトは双眼鏡を下ろす。
ロベルトのモノログ「ボクの、くつろぎの時間は、学校の友人、オーギュストにさえぎられた」

13 白壁の家、門の外(昼)
オーギュストがベランダのロベルトに向かって大声で呼ぶ。
オーギュスト「ロベルト! ロベルト!」
  オーギュスト、息を切らしながら呼んでいる。
  
14 ベランダ(外・昼)
  オーギュストに手を振るロベルト。

ロベルトのモノログ「オーギュストが息を切らしてボクを呼びに来る時は、決まって彼が、ある光景を発見した時だった。養父母の白壁の家の付近には、愛し合う男女が集う、秘密のスポットが在った」

15 ビーチ(外・昼)
 ビーチの奥にそびえる、大きな黒岩が見える。黒岩に近づくと、岩の中を通過する洞穴が見える。
オーギュストが岩に向かって、走っていく。
ロベルトのモノログ「その洞穴を抜けていった所だった。そこには、草むらが広がっていた」



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16 草むら(外・昼)
草をかきわけ、進むオーギュスト。
ロベルトのモノログ「草むらをなんとか、かき分けて進んでいくと、人気のない砂地スポットが在った。オーギュストは、しょっちゅう、そこに張り付いていた」

17 人気のないスポット(昼)
男女が全裸で現れる。
オーギュストが、草むらに隠れて、見ている。
ロベルト「男女の風景を見つけると、オーギュストは急いでボクを呼びに来たものだった、ロベルト!ロベルト!・・・と」

18 ベランダ(昼)
  オーギュストの声がこだまする。
オーギュスト「ロベルト!ロベルト!」
 ロベルトは、開いていたスケッチブックをパタンと閉める。
ロベルトのモノログ「ボクは、スケッチブックを取り出し、画を描こうとしていた。外国人観光客をスケッチするのは、ボクの趣味の1つだった」
19 白壁の家、表ガーデン(昼)
ティーを飲むための椅子とテーブルがある。ティータイムを取るゲストルームの観光客が居る。
ロベルトのモノログ「表ガーデンには、男女カップル客が多かった。ボクは、表ガーデンで起こる、様々な人間関係、主に男女関係を訳も分からず見ていた」
   泣く女性。
ロベルトのモノログ「涙を流す女性を見た」
泣く男性。
ロベルトのモノログ「男性の涙も見た」
笑う男女。
ロベルトのモノログ「涙を流していた人が、次の日、大笑いしている事もあった。その頃のボクには、それらの多くを理解する事が出来なかった。しかしボクはそれらの人々を、ポートレイトにした」


20 ポートレイト
笑う男女の絵。
絵の下にロベルトのサイン。
ロベルトのモノログ「ボクの趣味の1つであり、密かな楽しみだった」

21 白壁の家の門側(昼)
  オーギュストがロベルトを呼ぶ。
オーギュスト「ロベルト! ロベルト!」

22 ベランダ(昼)
オーギュストに手を振るロベルト。
ロベルトのモノログ「オーギュストは、しつこくボクを呼んだ。あの頃のボクらは、男女の行為に興味津々だった。ボクは彼の誘いに乗った。男女の光景を見る事にワクワクしていたのだ」

23 砂浜(昼)
砂浜を歩いていく、2人の少年、オーギュストとロベルト。
ロベルトは海原を見ながら歩いている。
青く広い海原。
ロベルトのモノログ「養父母は、申し分なかった。ボクは彼らを愛していたし、今も愛している。彼らは、ボクに大きな影響を与えた。養父は、いくつも海原の風景を時間を見つけては描いてた。養母は、海辺のアート・ギャラリーを手伝ってた」

24 ポートレイト
  ロベルトの養父母。
  1985年のロベルトの作。



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25 イメージ
  ギリシアの地図、海、クレタ文明が残したグラフィック・デザイン、ミノタウロスの伝説図。

ロベルトのモノログ「ボクが住んでいたクレタ島は、エーゲ海では大きい島で、飛行機では、アテネから45分で到着する。
 大昔クレタには独自文明が在った。1900年、エヴァンス卿の発掘隊が、地下に埋もれていた迷宮、クノッソスを発掘した。それが、クレタの古文明が残した遺跡だ。ボクは養父母に連れられ、古文明の遺物が展示されているイラクリオン考古学博物館へ何度か足を運んだ。養父は非常に熱心に展示を見ていた…そんな記憶がある。ボクは、ミュージアム・カフェで飲むコーヒーが好きだった。ボクも、クレタ文明の独自のアピアランスに目を見張る事もあった」

26 エーゲ海(昼)
  ウインド・サーフィンに興じる若者たち。
ロベルトのモノログ「だが、古代史と関係なく、人々は夏を楽しむために、エーゲ海を訪れる」

27 アテネ(昼)
パルテノンを山の頂に持つ、坂と大都会の街。
古代の遺跡、庶民の街、美しい木々、そして現代建築。
ロベルトのモノログ「当時のボクは、刺激的な都会アテネへ行くのが好きだった。養父母は、時々ボクをアテネへ連れて行った。12才になってからは、アテネの街を1人歩きした。ボクは、冬のアクロポリスの丘を好んだ。冬のギリシアはオフシーズンで、アクロポリスの観光客もまばらだ。冬のアテネには活気が無いが、それはそれでボクは楽しめた。アクロポリスの頂上に、有名なパルテノンが在るが、ボクは、多くの道が縦横に入り組んだ、丘のふもとが好きだった」
  街を行く、かわいい女の子たち。
ロベルトのモノログ「クレタにも、かわいい女の子たちが居たのに、アテネの女の子の方に引かれたのは何故だったろう? ボクは、オヘソが見えるファッションで身を包んだ、アテネの女の子たちのポートレイトを描いたりもした」

28 ポートレイト
  アテネの女の子たち。ロベルトの作。
ロベルトのモノログ「その頃、ボクら、クラスメートたち皆、異性に興味津々だった」

29 白壁の家側・黒岩の向こう側(夕)
  黒岩に、夕方の陽光で、男女の愛し合う影が映っている。
  草陰に隠れ、目を凝らすオーギュストとロベルト。

ロベルトのモノログ「その日、オーギュストと共に黒岩の向こう側へ行き……、ボクらは、秘密のスポットで愛し合う、一組の男女を目撃した。ボクは、その光景を、美しい、と感じた」
  フェードアウト。

30 (フェードイン)海辺の町(昼)
  イカの大きな看板が、飾られた、海辺のレストラン。
ロベルトのモノログ「当時、ボクの家の、150メートル先にバー・レストランがあった。毎日、付近の人々や観光客が、そこに集まっていた。そこのシーフード・パスタは評判が良かった」
  レストランの前で、魚介類の入った、木のコンテナを運ぶロベルト。
ロベルトのモノログ「ボクは、時々そこで働いて、ちょっとばかり小遣いをもらっていた。そこでのボクの役割は、シェフの買い入れを手伝う事だった。市場で買い入れる海の幸を、車に積み、そして下ろす事……」



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31 バー・レストラン(内・昼)
  アジア女性(ミステリアス・チャン)がカウンターに腰掛け、タバコをくゆらし、ワインを飲んでいる。
ロベルトのモノログ「その6月、ある女性が、バー・レストランの常連客になっていた。6月のある日、シェフとの買い入れの後、ボクが車から積み荷を下ろし、持って店内に入ると、彼女は、そこに居た」
  ミステリアス・チャンが、ロベルトに微笑む。
ロベルトのモノログ「彼女の目は、少し切れ長で、髪は黒々として、色白だった。アジアの女性の風貌だ。ギリシアの女性たちは美しい、と世界中で言われているのを知っていたが、周囲にはギリシア女性がほとんどだったからか、バー・レストランで見たアジアの女性の風貌にボクはたちまち引かれた」
  ドギマギする、ロベルト。
  荷物を持ちながら、ふらふらする。
  チャン、再び、カウンターに向き直り、
持っていた小説を開く。
ロベルトのモノログ「ボクは彼女の詳細を知りたくなり、荷物を運びながら、彼女とバーテンダーの間で交わされる話に聞き耳を立てていた……」
バーテンダー「あんた、よく来るね、この頃。名前は?発音出来ないかもしれないけれど」
チャン「チャン・・・でいいわ」
  こっそり、聞き耳を立てる、ロベルト。
ロベルトのモノログ「彼女の名はチャン。年齢は33才、推定年齢よ…と彼女が言ったように聞こえた」
 カウンター越しに、バーテンダーとチャンが会話している。
バーテンダー「あんた、わけあり女ですね・・・」
チャン「わけの分からない女よ。幼少期の記憶もない。教えてくれる人も居なかった。だけど、それなりに素晴らしい人生を与えられてきた。一度結婚して、離婚後、ある画家とパリで同棲を始めた。今は長いバカンスを取りに来ているの、このクレタ島に」
彼女の容姿に引かれて、ずっと見ているロベルト。
  ロベルトに英語で、話しかけてくるチャン。
チャン「ハウ・アー・ユー、リトル・シェフ」
ロベルト「・・・オーケー」
 彼女は唐突に言う。
チャン「家族というのは芸術ではない…、そ   
れは、人生の通過点の美しい瞬間の1つ」
首をかしげるロベルト。
ロベルト「えっ?」
チャン、微笑む。
チャン「どうでもいいのよ」
 そういって、彼女はグラスに残っていたワインを一気に飲む。
それから、シーフード・パスタをオーダーする。
  チャンはロベルトの鼻の先を撫でる。
チャン「何才?」
ロベルト「もうすぐ15…」
 チャン、再び、笑みを浮かべる。
チャン「分かりやすいのね…。今年85年で15才…。キミは、70年に生まれた」
チャンがオーダーしたシーフード・パスタが出てくる。
彼女はそれをつつく。

ロベルト「それ、美味しいでしょ?」
チャン、少し食べてから、言う。
チャン「食べる?」
ロベルト「いいの? ここのパスタ好きなんだ」
チャンは何も言わず立ち上がり、カウンターに代金を置いて、店を出ていく。
ロベルト、パスタを食べている。
ロベルトのモノログ「ボクは確かに、シーフード・パスタが好きだった。チャンはドアから出る前に、ボクをうつろな眼差し
で見た」
   チャンの、うつろな眼差し。
ロベルトのモノログ「ボクはドキッとした」
去っていくチャンを見送りながら、シェフは言う。
シェフ「バーには色んなタイプの客がくる。だけど、あの人は変わってる…。人間じゃないみたいに・・・」

32 白壁の家・ダイニング(夜)
ロベルトの養父母がテーブルに着いている。
2人は、ワインをテイストしている。
ロベルトのモノログ「養父母は、ほとんどバーへ行くことがなかった。たまに、2人で、家のディナー・テーブルに腰掛け、向き合って、グラスにワインを注いで味わっていた」

33 白壁の家・ロベルトの部屋(夜)
  ベッドに寝て、天井をぼーっと見ているロベルト。
  ロベルトの顔に、窓からの月明かり。
ロベルトのモノログ「ボクが養父母の白壁の家に来る前、そこに彼らの実娘が住んでいたらしい。結婚後、彼女はマニラで生活している。ボクは、あまり規制を受けずに養父母に育てられ、時々、ポケットマネーをもらった」
34 バー・レストラン(おもて・朝)
  おもてにトラックが停めてある。
ロベルトが、自転車で、レストランに来る。
ロベルト、自転車にチェーンをかけ、レストラン内に入る。
ロベルトのモノログ「ボクがバー・レストランを手伝うようになったのは、海の香りのする市場の雰囲気が好きだったから……」
  ロベルト、シェフと共に、外に出てきて、トラックに乗り込む。
  トラック発進。

35 トラック(内・朝)
   シェフが運転して、ロベルトが助手席に乗っている。
   窓から、海岸線が見える。



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36 魚介市場(内・朝)
   たくさんの魚介類が並ぶ。シェフとロベルトが品定めをしている。
ロベルトのモノログ「お小遣い、そして、アルバイト・・・、そうこうしている内に、ボクの貯金は増えた」

37 レストラン(おもて・夕方)
ロベルト「じゃね!シェフ」
シェフ「また、明日!」
ロベルト「オーケー」
  ロベルト、おもてに出る。
  そして、自転車のチェーンを外す。
  自転車にまたがるロベルト。
  自転車のタイヤが、ぐにゃっと潰れる。
ロベルト「パンクか・・・」

38 海辺(夕方)
  海辺を歩いて、家へ帰るロベルト。
  ロベルト、ふと、何かに気づく。
チャンがゆっくりと、彼の前を歩いている。
ロベルトのモノログ「宿泊しているホテルへと向かう途中なんだろうな、とボクは思った。チャンの歩く後ろ姿は、映画のスローモーションのように見えた」
  ゆるやかに歩く、チャンの後ろ姿。
ロベルト「チャンは本当にゆっくり歩いていた。ボクはドンドン彼女に接近してしまった」
  チャンに、自然に追いつく、ロベルト。
  チャンを追い抜くロベルト。
  ロベルト、チラッと彼女の方を振り返って見る。
 その時、彼女がウインクする。
ロベルト、立ち止まる。
チャン「わたしが泊まってるホテルに遊びに来ない?」
  一瞬、時間が止まる。
ロベルトのモノログ「チャンのような魅力的な女性に誘われたら、断るのは難しい。
 …だが、同時にボクは恐くなっていた。
 ボクは、男性経験が多そうな女性に、憧れと恐怖の両方を感じていた。実際にチャンは男性経験豊富だったのか、ボクは知らない。ボクはヘンな憶測をしてしまうのだ」
  シネマ女優のような雰囲気に包まれている、チャンの容姿。
  ロベルト、まばたきも出来ない。
チャン「どしたの?」
  ハッとするロベルト。
ロベルトのモノログ「ふと、ボクは、自分の想像が飛躍していることに気付いた」
ロベルト、答える。
ロベルト「OK」

39 通り(夕)
  子供たちが、自転車に乗ったりして、駆け回っている。
ロベルトのモノログ「学校は既に夏休みになっていた。クラスメートの中には、集まって、キャンプに行く者もいた。ボクも時にはそういう事に参加したが、当時、ボクは大人の世界に引かれていた。大人の女性に……。ボクのリビドーは、活動的だったのだ」
  チャンがロベルトの前を歩いている。
ロベルトのモノログ「チャンの宿泊しているホテルの部屋を見たい、という気持ちは、とても大きかった。15以上年上のチャンには、女性的雰囲気が漂っていた」
チャンは手招きして、丘の上のホテル「宝石」へとロベルトを導く。
チャンが丘のホテルを指差す。

40 丘(遠景・夕)
  ホテル「宝石」が見える。



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41 ホテル「宝石」(内・夕方)
 チャンは、部屋の鍵を開けて、先に中へ入る。
チャン「カムイン!」
チャン、手招きでロベルトを中へ誘う。

42 チャンの部屋(内・夕方)
  チャンは、ロベルトが入ると、ドアを閉めて、ワンピースを脱ぎ、アンダーウェアだけになる。
チャン「1人で、ここに来たんだけどね、退屈しちゃって…」
 チャン、楽しんでいる様子。
ロベルト、思わず、彼女に触れようとするが、手を引っ込める。
ロベルトのモノログ「ボクは、ちょっと恐怖を感じた・・・」
ロベルト「じゃ…、さよなら!」
 ロベルトは、そう言って、急いで部屋を出て行く。
43 ホテル廊下(夕)
  去っていくロベルト。
  チャン、上半身をドアから出す。
チャン「また、いつでも遊びに来てよ。おもしろい物みせるわ!」
 チャンは去っていくロベルトの後ろで、そう言う。

44 丘(夕方)
  ロベルトは丘を走り降り、そして後ろを見ると、だんだんホテル「宝石」は小さくなる。

45 ビーチ(夕闇)
 夕闇のビーチを1人で歩くロベルト。
ロベルトのモノログ「ボクは頭の中を整理しようとしていた」
 ロベルト、夕闇のビーチに、1人立って海原を見る。
  お尻の大きな少女が、そこに居る、足を少し濡らして。
彼女は大きなハットを被り、そのハットと共にステキなシルエットを作り出している。
 彼女は、ふとロベルトの方を向く。
その時、風で彼女のハットが飛ぶ。
 フワリフワリと、風に乗って、ハットは
  ロベルトの足元に落ちる。
 ロベルト、ハットを拾い上げる。
 お尻の大きな少女(クララ)はボクの元にかけよる。
 ボクはハットを手渡す。
クララ「サンクス・・・キミは、この辺に住んでる子? ワタシ、ドイツから来たのよ、お父さんと」
ロベルト「ボクは、すぐ近くに住んでる。この島には、色んな国から観光客が来るんだ。エーゲ海は有名だから。キミもバカンスで?」
クララ「ウン、あのホテルに泊まってるの」



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46 丘の遠景(夕闇)
  クララが指差す方向にある丘。
彼女が指差したのは、遠くに小さく見える、ホテル「宝石」だ。
クララ「キミ、何か書くもの持ってる?」
 ロベルトは、ポケットをさぐり、安いボールペンを取り出す。
 彼女は、ロベルトの手からボールペンをサッと奪う。
クララ「きみの電話番号は?」
そして、ロベルト、電話番号を言う。
それを彼女は自身の手の甲に、ボールペンで記す。
ロベルトのモノログ「そのドイツ少女が、ボクには、映画に登場するヒロインのように見えた」

47 街一軒の映画館(外・昼)
  古いが、おしゃれな建物。
  ショウ・ウインドウには、珍しい映画のポスター。
  ロベルトが、ショウ・ウインドウの前をうろうろしている。
  彼は、ポスターを見ているのだ。
  夢中のロベルト。
ロベルトのモノログ「当時、ボクは映画が作り出すイリュージョンの虜だった」

48 キオスク(外・昼)
映画雑誌などが並んでいる。
自転車で来たロベルトが、一冊の映画雑誌とジェラートを買って、去る。
ロベルトのモノログ「白壁の家から300メートル程歩いた所だったと記憶しているが、キオスクがあった。ボクは、そこでよくジェラートを買い食いした」
   雑誌を脇に抱え、ジェラートを舐めな
がら自転車に乗って、広い砂地の道路を行くロベルト。
ロベルトのモノログ「キオスクに、アメリカ合衆国やフランス、時に香港の映画スターのグラビアがいっぱいのマガジンが売られていた。ボクは、そんなマガジンが好きだった」

49 海辺の道(昼)
  自転車で通過するロベルト。
  水面に陽光を受けて、まばゆく光る海。
  海を見るロベルト。
ロベルトのモノログ「アメリカ合衆国、フランス…、どこもが、クレタ島から遥か彼方だった。しかし、時どき、それらの国々からのロケーション撮影隊が、エーゲ海を訪れた。ボクはまっさきに見物に行ったものだ」
  
50 湾の風景が美しく見える場所(昼)
  2人のフランス人らしき男(フランスのの国旗が背中にプリントされたTシャツを着ている)と、フランス女優らしき人物が、そこにいる。
  2人の男は、脚本のような本を持ちながら、フレーミング用のレンズで湾を見ている。
  フランス女優らしき人物は、にこにこ笑っている。
ロベルトのモノログ「あれは、フランスの女優だ、と思った。映画のロケーションをさがしてるんだ、とボクは分かった」
  自転車を降りるロベルト。
  女優にあいさつする。
  女優、ロベルトと握手。
ロベルトのモノログ「ボクは、彼女と握手を交わして、不思議な感激を味わった。すました顔をしながらボクは、心で女性たちに翻弄され続けていた」



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51 白壁の家(エスタブリッシュ・夜)
  虫の鳴き声が、聞こえている。
  月明かりがくっきりと美しい。

52 居間(内・夜)
  電話が鳴る。
  誰もいない居間、キッチン・・・。
  ロベルト、居間に入る。
  ロベルト、受話器を取る。
ロベルトのモノログ「ドイツからの、お尻の大きな少女が、その6月のある夜、ボクに電話をかけてきた。養父母は、サーカスを見に行って留守だった。彼女は、ボクを、宿泊していたホテル「宝石」の部屋へ呼んだ」
  (フェードアウト)

53 クララの部屋のドア前(内・夜)
  (フェードイン)
  ドアをノックするロベルト。
ロベルトのモノログ「心を躍らせながら、彼女の居る部屋のドアをノックした」
 ドアが開く。
クララは、ロベルトをを部屋の中に入れる。
クララ「今日は、お父さんが、バーに行ってしまって居ないの」
彼女は、やや、笑みを浮かべて言う。
クララ「ワタシさびしいの」
  クララは、ベッドに座っているロベルトの傍らで眠りに就く。
ロベルトも横になり、彼女の傍らで眠りに就く。
ロベルトのモノログ「夢の世界に入る前に、ボクは彼女の名前を尋ねた。彼女は小さな声で答えた」
クララ「わたしの名前は、クララ。クララ・シュミット……」

54 ホテル(外観・朝)
  朝もやに包まれたホテル「宝石」


55 クララの部屋(ベッドルーム・朝)
   朝日の光が室内にも入り込んでいる。
   ドボドボ・・・というシャワーの音。
ロベルトのモノログ「翌朝、ボクは、シャワーの音で目覚めた。その部屋のシャワーは、ドボドボと、かなりうるさい音を出すモノだった」
   半ドアになっているシャワー・ルームのガラス扉。
   ベッドで、それを見ているロベルト。
   ドアから全裸のクララが出てきて、彼女はそのまま、ティーを入れて飲む。
彼女の後ろ姿を眺めるロベルト。
ロベルトのモノログ「彼女は、まだボクが寝ていると思っていたのだろうか?ボクは全裸の彼女の大きなお尻を眺めてた」
  そうしていると、彼女はもう1杯ティーを入れる。
そして、ロベルトに向き直り、それを運んでくる。
クララ「はやく起きて! お父さんが戻って
 くるから!」
  ロベルトはティーを飲み干すと、部屋を出る。



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56 新しいカフェ(おもて・昼)
  カフェの前に立つロベルト。
ロベルトのモノログ「その夏、ボクの知らな
 い間に、町に新しいカフェが出来てた。イ
 タリアン・カフェだった。通り沿いのテー
 ブルで2人の男性と3人の女性がスープを
 飲みながら、イタリア語で話をしていた」
スープを飲んでいる客。
  ロベルト、カフェの中へ。
ロベルトのモノログ「ボクもスープを飲みた
 くなり、カフェに入り、オーダーした」

57 カフェ(内・昼)
  カウンターで、フリーペーパーを見ながらスープを待っているロベルト。
  スープを持ってくるウェイター。
  スープのカップを受け取るロベルト。
ロベルト「やがて、「本日のスープ」の香ば
 しい匂いがしてきた。ボクはスープを受け
 取り、見回した。空席は、なかった」
席を見回すロベルト。
  満席。
  立ちながら、スープを飲むロベルト。
ロベルトのモノログ「ボクは立ちながらスー
 プを飲んでいた。スープを飲みながら、フ
 リーペーパーを読む……、ひとときの幸せ
 を感じられた。そんなボクを、さっきのイ
 タリア語を話す5人の中の、1人の男性
 が、彼らのテーブルに招いた」
  ロベルトを招く男性。(ミスター・アカワ)
男性「ミスター・アカワという者だけど、キ
 ミ、ボクらのテーブルに来ないかい?」
ミスター・アカワは、30代後半の人物。その誘いに、とまどうロベルト。
  アカワを見ながら、沈黙するロベルト。
アカワ「いやいや、そんなにへんな顔される
 と、ボクもどうしていいのか分からなくな
 る。ボクはね、ローマからここクレタに来
 た。そう…、バカンスでね。普段はローマ
 に住んでる。この辺の楽しい場所を教えて
 くれるかな?」
ロベルトのモノログ「ミスター・アカワは、アジア系だった」
ロベルト「なぜローマに住んでるの?」
アカワ「ボクは日本にあるエレクトロニク
 ス・カンパニーから派遣されて、ローマに
 滞在してるんだ。ローマに支店を作るため
 にね。家族で移動したから、まあ、なんと
 か落ち着いて生活してる。今、ちょっとし
 たバカンスさ」
彼自身の自己紹介の後、ミスター・アカワは他の4人を紹介する。
アカワ「ワイフ、娘、そっちは、イタリアか
 らのカップル、旧友だ」
ロベルト「ロベルトです」
アカワ「なにか飲むかい?」
ロベルト「ワインを」
  アカワのワイフが笑う。
ロベルトのモノログ「15にもならないボク
 の、そんな発言に、アカワのワイフが笑っ
 た。そして、同じテーブルのイタリア人男
 性と、その恋人も笑っていた」
  ミスター・アカワは、ビジネスカードを
  ロベルトに渡す。
  談笑する、テーブルのみんな。
  手を振って、みんなと別れるロベルト。

58 バー・レストラン(内・昼)
  テーブルを拭いているロベルト
シェフ「ロベルト、ちょっとごめん、イワシ
 が足りないんだ。ちょっと市場で買ってき
 てくれない?」
ロベルト「OK」

59 バー・レストラン(外・昼)
  自転車に乗っていくロベルト。

60 市場(内・昼)
  ロベルト、市場を歩き回っている。
ロベルトのモノログ「ボクは自分自身の事をまだ、あまり分かっていなかった。そして、日々を過ごしていた。養父母は、父親、母親、そして息子のボク…、という家族の光景を楽しんでいた。ボクの性質は、トリッパー的だった。そして、感謝すべき事だが、ボクは健康だった。ボクは町を散策し、その光景を見る事を愛した」



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61 町の映画館(外観・昼)
  ロベルトがウロウロしている。
ロベルトのモノログ「あいかわらず、バー・
 レストランの仕事を手伝っていたが、ある
 日、町の映画館へ行くと、あのドイツ少
 女、クララ・シュミットに再会した」
  とうとう映画館に入るロベルト。

62 映画館(室内)
  スクリーンに夢中のロベルト。
  ロベルトに話しかける、となりの席の人物。
  スクリーンの光に照らされ、それがクララと分かる。
ロベルトのモノログ「ボクは上映中だった、
 フランス映画に見入っていたが、最中、突
 然となりの席の客から話しかけられた。そ
 れが、クララだった。クララは「今日、ヒ
 マ?」とボクに尋ねた」

63 映画館(外・昼)
  ロベルトとクララが出てくる。
ロベルト「今から、チャンの部屋へ遊びに行く、……、彼女は、クララと同じホテル「宝石」に泊まってる……」
ロベルトのモノログ「特に、そんな予定では
 なかったのだが。チャンが見せる、と言っ
 た、おもしろい物は気になっていた」
クララ「チャンって誰? ワタシもきみと一
 緒に行っていい?」
ロベルト「……OK」

スーパー「ミステリアス・チャンの記憶(5
 人のコネクション)

64 ホテル「宝石」(外観・昼)
  丘の上にポツンと一軒建っている、ホテ
  ル「宝石」。
  その背景は・・・、青空に、大きな真っ
  白な雲が浮かんでいる。
  クリーム色のホテル「宝石」は、その背景と共に、マグリットの絵画のように見える。
  ロベルトとクララが丘を登って行く。

65 チャンが泊まっている部屋のドア前
  ロベルトとクララが、そこへ来る。
 ロベルト、ドアをノック。
チャン(ドアの向こうから)「だれ?」
ロベルト「ロベルト…と友人のクララ」
しばらく、ドアの向こうが静かになる。そして、また、チャンの声がする。
チャン「ロベルト…、ロベルト…? だれだ
 ったかしら?」
ロベルト「バー・レストランでアルバイトをしている者だけど…」
ガチャッとドアが開く。
  アンダーウェアだけまとったチャンがドアから顔を出す。
ロベルトのモノログ「チャンは、自室では、
 アンダーウェアだけで過ごすようだ。ドア
 を開けたチャンは、アンダーウェアだけだ
 ったため、クララはへんな顔でボクを見
 た」
  目を見開きロベルトを見るクララ。
  クララと共に部屋に入るロベルト。
ロベルトのモノログ「とにかく、ボクらはチャンの部屋の中へ招かれた」



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66 チャンの部屋(室内・昼)
ボクとクララを中へ招き入れるチャン。着替えるチャン。
ロベルトのモノログ「チャンは、アンダーウェアのみを付けていた身体を隠すために、急いで、ダーク・カラーの薄いマテリアルのシャツとタイト・ジーンズを着た」
  ジーンズをはくとき、チャンの腰にあるタトゥーが見える。
  一瞬、それに気づくロベルト。
  すこし変わったデザインのタトゥー。
チャン「ロベルト……だったかしら……、この前ワタシが言ってたおもしろい物を見に来たんでしょ?」
  チャンは微笑み、奥の部屋へ、ロベルトらを案内。
奥の部屋には、その1週間ほど前に出会った、ミスター・アカワがいる。

ロベルトのモノログ「ミスター・アカワは、日本のエレクトロニクス・メーカーからヨーロッパに派遣された男だった」
ややカールした髪に、無精ひげ……、ボヘミアン・ルッキングのアカワ。
ロベルトのモノログ「彼は、ビデオカメラをローマで販売しようとしていた」
アカワ「ボクが何故こんなに忙しくて難しい仕事についてしまったのか分からないけど、ボクは自分の仕事を気に入ってる。しかし、時々バケーションを取って気持ちをOFFにする事で、ボクはなんとか、業務をつづけてるよ。バケーションはいい」
  アカワは、奥の部屋のソファに、ゆっくりと腰掛けて、ソルティドッグを飲んでいる。
ロベルトのモノログ「チャンは、ミスター・アカワと、バー・レストランで知り合った。ミスター・アカワが座るソファを取り巻く壁には、7枚の絵画が置かれていた。それらこそが、チャンの言う、「おもしろい物」だったのだ。それらを描いたのは、パリでチャンと同棲中の画家だった」
  アカワをとりまく7枚の絵。
ロベルトのモノログ「絵画は、どれも、顔の部分が影になっている、女性のヌードだった。ヌードの女性の腰には、タトゥーが描かれていた。ボクはハッとした。チャンのヌードを描いた絵画だ、と気付いたから。ボクらが部屋に入ってきた時、チャンは急いで服を着たが、その時ボクは、後ろ姿で、ジーンズに足を通すチャンの、腰のタトゥーを見逃さなかった。それは、小さなタトゥーだったが、変わった形だった。7枚のヌードの中で、その形がしっかりと描写されているものは、1枚だけだった」
  チャンは、一人、窓からの陽光を浴びながら、不思議なダンスを踊っている。
ロベルトのモノログ「だれもが息を呑むような、チャンのスタイルを見ると、ボクは、すこし、彼女とミスター・アカワの関係を疑ったが、薬指にリングを付けているミスター・アカワは、チャンと、たまたま、バー・レストランで知り合い、彼が絵画に興味がある事を話し、チャンは、彼女の恋人の絵をミスター・アカワに見せて、売り込んでいたところだったらしい。ミスター・アカワは、自分自身の審美眼を持っている男性だった」
  ミスター・アカワは、結婚指輪を撫でながら、チャンの部屋にあった、いくつかの絵を静かに見ている。
ロベルトのモノログ「彼は、特に何も言わなかったが、心の中では、いくつかの絵に対して、「好き・嫌い」を彼自身の審美眼で決めていたようだった」
  アカワがこちらに振り返る。
  ロベルトの視線がアカワに合う。
  チャンがダンスをやめる。
  クララが髪を整えている。
アカワ「ボクは、アートという表現が好きだ。アーティストに対して、批評家が言う批評には、ボクはほとんど関心がない。ボクは、ボク自身が心地よいと感じるアートを欲しいのさ。ここには、いい絵があると思うよ。ボクは、今、絵を買う程のお金を持ち合わせてないんだ。アメリカの友人に、いい絵があるって、連絡するよ。彼の名は、ドクター・トーマス・レブンワース・カールトン・ジュニア。彼は、新築した家に飾る絵を欲しがってた。ちょっと、ここの絵をビデオカメラで撮影していいかな?」
チャン「OK!」
  ミスター・アカワは、大きな黒いバッグから、大きなビデオカメラを出す。
ロベルトのモノログ「いまでも、ボクは、世の中に、そして他人の行動にとまどうが、アカワや、チャンは、なにか変わっていた。でも、ボクらのような、右も左も分からない子供を受け入れてくれていた、その心のやさしさに感謝している。ボクにとっては、アカワは理想的紳士であり、これからも彼みたいになれるか分からない。ただ、ありがとう、という気持ちを彼に感じる。彼は、おもしろい男だったし、だから、ボクはずっと、そのバッグに何が入っているのか、気になっていた。ボクは、映画が好きだったから、ミスター・アカワが取り出したカメラをじっと見ていた」
アカワ「きみ、撮影してみるかい?」
アカワはビデオカメラを手渡す。
  受け取るロベルト。
アカワ「そのボタンを押せば、テープが回り
 はじめる。ボクはね、キミたちの世代が、
 こういうモノを使って、新しいアートを作
 っていくと思ってる」
  ロベルトは、そこにあった絵を1つ1つ、撮影する。
 その間、ミスター・アカワは、彼の友人ドクター・トーマス・レブンワース・カールトン・ジュニアに宛てて、便箋に手紙を書く。
クララ「(ひそひそとロベルトに言う)あ
 の、チャンって人・・・、なんか普通じゃ
 ないよ。ミステリアスな感じ・・・。そう
 ね、わたし、彼女を、ミステリアス・チャ
 ンって呼ぶわ」
  ロベルトの微笑。(カメラを持ちながら。)  
ロベルトのモノログ「ボク、クララ、ミステ
 リアス・チャン、ミスター・アカワ、そし
  て、ドクター・カールトン・ジュニア。この5人のコネクションが、ある財宝さがしにつながっていった」



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67 スーパー「1986年7月8日」
ロベルトのモノログ「ボクは16才になりク
 レタの暮らしに物足りなさを感じてた」

68 ビーチ(外・朝)
  砂浜に立っているロベルト。
  沖に外国のクルーザーが見える。
ロベルトのモノログ「ボクは、人気のないビ
 ーチに座り、外国船がゆるやかに浮かぶ、
 沖を見ていた。素晴らしいが変わらぬ
 日々。海に囲まれた島で、日々、変化のな
 い暮らしをした。似たような毎日だった。
たいくつさを感じていた。幸せな毎日だったのだが。歳が近い、クララは、ボクにエアメールをくれた」
 ポケットから、クララのエアメールを出
 す、ロベルト。
 エアメール・エンベロープから、手紙を取り出す。そして、ロベルト、手紙を広  げる。
ロベルトのモノログ「彼女は、ステーショナリー・ショップで、その夏の初めにアルバイトをしたらしい。クララのエアメールを読むと、想像したものだ。彼女は、もうずいぶん成長したのではないだろうか、と。ボクは、アルバイトで得たお金で、ダンスフロアに通った」

69 ダンスフロア(室内・夜)
 踊る女性たち。
眺めているロベルト。
ロベルトのモノログ「時には、スチルカメラ
 を持ち、彼女たちを撮影した」

70 ビーチ(外・朝)
  朝もやの中に、チャンがいる。
ロベルトのモノログ「ボクはビーチで、チャンを見つけた。去年からずっと、彼女はクレタに滞在し続けていたのだ。彼女には画家の恋人がいる、たしかパリに・・・。ミスター・アカワは何してるんだろう、・・・彼はイタリアに居るはずだ」



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71 イタリアの町(外・昼)
スーパー「イタリア」
  アカワが小売店に、バッグを持って入る。

72 イタリアの小売店(内・昼)
  アカワが店主に話しかける。
アカワ「私は日本のエレクトロニクス・メー
 カーから来ました。これを見てください」
  アカワがバッグから自社のビデオカメラを取り出す。
店主「ビデオカメラだね」
アカワ「これが我が社のプロダクトです。売
 り込みのために、いろいろ店を回ってま
 す」
  店主は、そのビデオカメラを手にとって見る。
店主「なかなかシャレてて、いいね。・・・
 今は、 ちょっと、うちの方も仕入れ出来
 ない状況なんだ」
  ビデオカメラをアカワに返す店主。
アカワは、ビジネス・カードを店主に渡す。  
アカワ「では、私のビジネス・カードを渡し
 ておきます。ありがとうございます」
  店を出るアカワ。

73 クレタの郊外(外・昼)
  緑に被われた小高い丘、ロベルトが歩いている。
ロベルトのモノログ「そうこうしている日々、ある問題が起きた。問題は、チャンを描いたヌード画が盗まれた、という事だった。そのような事が起きるとは、ボクは全く予想してなかった。その話をしよう」

74 ロベルトの白壁の住まい(室内・昼)
  ベッドの側の時計が1時を指している。
  横になっていたロベルト、目を開ける。
ロベルトのモノログ「ボクは、その日、午後
 1時までベッドの中にいた」
  電話のベル音が聞こえる。
  ロベルト、起き上がり、自室を出る。

75 居間(内・昼)
  電話が鳴っている。
  走ってきて、電話を取るロベルト。
電話の声の主「ロベルト、ワタシ! 分か
 る?」
ロベルト「クララ?」
目をまんまるにするロベルト。
ロベルトのモノログ「ボクは、クララが再び
 クレタ島に来た事に戸惑い、そして嬉しく
 感じた」



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76 イラクリオン考古学博物館(内・昼)
  館内公衆電話から電話しているクララ。
クララ「ロベルト、他におもしろい人も一緒
 なのよ。声を聞かせるね」
ロベルト「誰だろう?」
  クララの隣に来る人物。
  それは、アカワだ。
  アカワは、クララから受話器を受け取る。
アカワ「やあ」

77 ロベルト自宅居間(昼)
  受話器を持っているロベルト。
ロベルトのモノログ「聞き覚えのある、なに
 か、みんなの好奇心を集める声。それは、
 その前年に出会ったミスター・アカワの声
 だと、すぐ分かった」

78 博物館内
アカワ(受話器を持って)「ボンジュルノ、
 ロベルト。1年ぶりだね。1年ののち、キ
 ミは、より成長しただろうね。今、ボクた
 ちは、イラクリオン考古学博物館にいる。
 そこのパブリック・フォンから、キミに電
 話してるんだよ。クララと、ここで偶然会
 った。1年前、チャンの部屋で会った時の
 面影があったから、彼女だと分かった。ミ
 ュージアム・カフェに居るから、キミもこ
 っちへ来て欲しい」

79 土手(昼)
  自転車で行くロベルト。
  はりきって自転車をこぐ。
ロベルトのモノログ「イラクリオン考古学博物館か。久しぶりだ。考古学博物館へ行くといつも、ボクは不思議な気分になっ
  た。なぜ今を生きる者は、過去の歴史が
残してきた文化に興味を持つのか? 
そう思うのとウラハラに、ボク自身、クレタの歴史的海洋文化に引かれる事もあった」

80 博物館(外見・昼)
  しずかに佇む建造物。



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81 博物館内(昼)
  ロベルト館内へ。
  ロベルトに手を振るクララ。
  クララとアカワに近寄るロベルト。
  二人と握手。
ロベルトのモノログ「1年ぶりだった。ミスター・アカワは、チャンから連絡を受けて、イタリアから、やってきた。ミスター・アカワは、風変わりな男でもあった。それならば、はやく、チャンに会えばいいのに、友人と博物館を見学していた。ミスター・アカワは、風変わりに時間を使うことで、生活の中のストレスを減少させていたのだった」
  アカワが、トリップしているような笑みを浮かべる。
アカワ「人生は、ほんとに分からない事だらけだって思うよ、ロベルト。時々、いや、たくさんの時間の中で、自分の人生をコントロール出来ないでいるよ。これが人としての生に関する、わたしの意見だよ」
ロベルト「チャンにしても、あなたにしても、ボクにとって、まだ感じたことのないことを言いますね・・・」
アカワ「ごめん、ごめん、・・・ちょっと考え事が多い日々だったんだ、この頃・・・」
長身の人物「ハロー」
  そうあいさつしながら、長身の男が近づく。
ロベルトのモノログ「この人物が、ボクがそれまでに、その名前だけを知っていたアメリカ人、ドクター・トーマス・レブンワース・カールトン・ジュニアだった。彼は、少し神経質な面が表出するミスター・アカワと違い、自分を確信するように振る舞っていた」
  ロベルトに近寄り、ロベルトの肩をポンとたたき、ガハハと笑いながら、長身の男(ドクター・カールトン・ジュニア)は言う。
カールトン「きみがロベルト?」
ロベルト「ええ」(やや緊張気味)
クララは、ロベルトとカールトンのやりとりを微笑ましく見ている。
ロベルトのモノログ「その日、ボクにとっては、クララとの再会が最も重要な事だった。彼女に再会すると、ふしぎに嬉しくなった」
アカワ「行こうか?」
ロベルト「えっ、どこに?」

82 ハイウェイ(外・昼)
赤い車が走っている。
 
83 赤い車(内部)
  ロベルト、クララ・シュミット、ミスター・アカワ、そして、ドクター・トーマス・レブンワース・カールトン・ジュニアが乗っている。
アカワ「まだ、主役がそろってないのさ。
 ロベルト、・・・チャン、覚えてる?」
ロベルト「チャンのことは、いつも頭から離
 れません」
アカワ「ほほう。今から、チャンのとこに行
 くよ」
ロベルト「ボクとクララは、彼女をミステリ
 アス・チャンと呼んでます」
  アカワが笑う。

アカワ「最高のネーミングだ。わたしにとっても、彼女はミステリアス・・・」

84 やしの木の林(昼)
   林を通り抜けていく車。
ロベルトのモノログ「やし林の向こう側に、ミステリアス・チャンが1人でレンタル・ハウスを借りている、住宅街がある。ミステリアス・チャンは、クレタに滞在している間に、ホテルからレンタルハウスに移っていた」

85 チャンのレンタルハウス(外観・昼)風通しの良さそうな木造レンタルハウス。
   外にはチャンのものらしい洗濯物が干されている。
   アカワ、ロベルト、クララ、カールトンが、そのドアの前に立っている。
   アカワがドアのブザーを鳴らす。
チャンの声「WHO’S THERE?(だれ?)」
アカワ「THIS IS MISTER 
AKAWA(ミスター・アカワだ)」
ミステリアス・チャンはドアをゆっく
   り開ける。
   サマーセーター姿のチャン登場。
   チャンをじろじろと見ているロベルト。
ロベルト「彼女は、普段、わりと肌を見せる服装なのだが、その日は体を隠す長めのサマーセーターを着ていた。ボクは密かに、ミステリアス・チャンの腰に彫られたタトゥーに興味を持っていた。なぜなら、その70年代デザインに興味を持ったから。ボクの養父は70年代北カリフォルニアに住んでいた。その頃、彼が撮影した北カリフォルニアの街の様子の写真が白壁の家にたくさんあった。その中に、タトゥー
 を入れた人々が、写っていた。ミステリア
 ス・チャンのタトゥーのデザインは、北カ
 リフォルニアのものと似ていることにボク
 は気付いた。そういえば……、彼女には、
 幼少期の記憶がない・・・」
チャン「どうしたの? ロベルト?」
  はっと、我に返るロベルト。
ロベルト「いえ・・・」
  4人は、チャンのレンタルハウスの中に
入る。



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86 イメージ(シスコとバークレーの街)
  タトゥーを入れた若者たちが行き交うストリート。
  テレグラフ・アベニューや、ヘイト・アシュベリー。
ロベルトのモノログ「アメリカ合衆国、北カ
 リフォルニア……、その地名は、養父の影
 響で、いつも、ボクの頭の中に浮かんだ」

87 レンタル・ハウス(内・昼)
リビングルームに置かれたソファ。
4人が座る。
4人の前に立つチャン。
チャン「そう…、絵が消えたの!」
4人、一瞬、しーんとする。
ロベルトのモノログ「そうやって、ミステリ
アス・チャンは話を切り出した」
ロベルト「どの絵?」
チャン「ワタシの背中から腰までが、描かれたヌード画…」
ロベルトのモノログ「ボクは、やはり、あのタトゥーが描かれたヌード画か…、と思った。あの、小さいが、変わったデザインのタトゥーには、何か秘密めいた所があった」
ロベルト「あれ、タトゥーが描かれてたね。あのタトゥーは、北カリフォルニアと関係があるって、ボクは確信してるんだ」

クララ・シュミット、ミスター・アカワ、ドクター・トーマス・レブンワース・カールトン・ジュニア、そしてミステリアス・チャンの4人の視線が、一気にロベルトに集中。
アカワ「聞かせてくれ」
  4人に話して聞かせるロベルト。
ロベルトのモノログ「ボクは、そう確信する訳、養父のことなどを皆に話した」
チャン「ワタシの腰には、ワタシがものごころついた時に、すでにタトゥーがあった……」

88 スーパー「船旅」

89 湾(昼)
  船が行き来している。

90 陸の展望スポット(外・昼)
  ロベルトとクララが湾を展望している。
ロベルトのモノログ「ボクは、クレタ島の海に囲まれた、小さな生活範囲から、外に出たくなっていた。クララは、白壁の家のゲストルームに泊まって、クレタ島までの旅路のことを、ディナーの時に話してくれた」



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91 ホテル「宝石」(外観・夜)
  ホテルの背景に無数の流れ星。

92 ホテルの1F共同スペース(夜)
  カールトンとアカワがソファに座り込んで、向かい合っている。
カールトン「ミスター・アカワ……、ボクは考えたんだよ。あの絵にどれほどの価値があるのか、ボクにははっきり分からない。しかし、ある情報によると、盗まれた美術品は、ここから一番近い場所では、イスタンブールで売られることが多い。あの土地には、世界の様々なものが集まるんだ。古代の彫刻から、世界中の現代美術まで……。盗まれた絵は、きっと、イスタンブールの市場で見つかる! 行ってみようか?」

93 ロベルトの日誌
  表紙をめくると、以下の記述がある。
  「ミスター・アカワは、旅を好む男でもあった。彼が少年の日に夢見たアドベンチャーが、近くに来ていた。さいわいに、彼は、そのアドベンチャーに足を踏み入れるに足る、財産を持っていた。
 そして、彼は、その旅……、つまり盗まれた絵を探すアドベンチャーには、他にも仲間が居た方がいい、と考えた」
 (日誌を記すロベルトの映像も入る)

94 白壁の家(外観・朝)
  鳥のちゅんちゅんという鳴き声。
  電話のベル音。

95 白壁の家(居間・朝)
  ロベルトが受話器を耳につけている。
ロベルト「ミスター・アカワ、どうしたんですか? こんな朝に」
アカワ「(受話器の向こうから)きみ、今、サマー・バケーション中だよね。きみをアドベンチャーに誘うよ、もちろん、クララも一緒に」



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